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No.161

スタバのまったり度とは?
2003.10.28
by Y.Tomizawa


やってみました。
ドトールとスタバの客が、どのくらい「まったり」しているのか、調査してみました。
今回は、その結果のご報告を…。


■調査目的

そもそも調査の目的は、自主的なものです。
あくまでも「どのくらい違うのだろう」という素朴な思いからです。
もっとも、お金をいただいて調査するのだったら、こんなところに公表できません。

きっかけとしては、先日スタバに行ったときに、席が空いているのに、そこに荷物を置いている人が多かったことがあげられます。
我が物顔でスタバを使う客に、スタバ初心者の私は、戸惑うばかり。
「どかせよ…」とは、なかなかいいにくいものです。
「ここいいですか…?」と殊勝な声で、お伺いするだけです。

しかも、スタバ特有の「ソファ席」では爆睡している若者まで見られる。
これでは、「若者版ルノアールじゃないか…」とも思えます。
「銀座ルノアール」といえば、疲れたサラリーマンオヤジの憩いの場。
何時間いようと、店員に注意されることはない上に、サービスでお茶まで出してくれる。
売れない営業マンのオアシスとも呼ばれております。

スタバも、たいそうなコンセプトを掲げている割に、結局のところルノアール化してしまったんだなと思いました。

スタバは、かなりの長期に渡って、既存店の売上が前年割れをしている。
対するドトールは、100%前後をうろうろ。
客単価は、おそらくスタバの方が高いのでしょうか。

「普通のコーヒー」は、スタバは262円、ドトールは180円ですから、これだけで考えれば、スタバの方が5割増し。
スタバのウリは、さまざまなオプションコーヒー(という言い方でいいのか分かりませんが)のはずだから、客単価はもっと高いと思います。
おそらく、350円前後といったところでしょうか。
ドトールも、最近は「S・M・Lサイズ」となって、Mサイズが230円だから、実際の客単価もこのくらいか。

でも、いくら客単価が高くても、いわゆる「回転率」が低ければ、効率は悪いということになる。
高単価で、高回転を目指さなくては、既存店売上アップは望めないはず。
では、実際に、スタバ、ドトール両店の「回転率≒顧客滞留時間」は、どれだけ違うのだろうか…ということを調べたのでした。


■店舗特性

スタバは、「渋谷3丁目店」で行いました。
地図など

JRAのWINS渋谷のすぐ近く、明治通りという大通り沿いにあります。
渋谷駅から、徒歩で5分ほど。
利用客の中心は、サラリーマン・OLです。

1階と2階が店舗になっており、調査は2階で行いました。
座席数は、テーブル・ソファ席が40席、カウンター席が14席、計54席です。

一方のドトールも、店の名前は同じ「渋谷3丁目店」。
地図など

しかし、こちらは駅のすぐそば。
この夏、さんざんマスコミが押し掛けた「渋谷警察署」のすぐ前です。
こちらの座席数は、テーブル席のみで33席。
ドトール特有のカウンター席はありません。


■調査方法

本来であれば、同日、同時刻に調べなければいけないのですが、そこは零細事業者の哀しさ、一人でやりました。
ですから、カフェが持つ、「時間帯特性」は考慮できません。
※私の見た目からすると、スタバは3時前後よりも、4時前後が、客の出入りが激しい。
ドトールは、最近はあまり行ってなかったのですが、時間帯の偏りは、スタバほど激しくないと考えています。

調査の方法は、ひたすら観察するだけです。
着席してから、席を立つまでの、時間を分単位で測定しました。

スタバは、ちょうどフロア内を見渡せる席に座れたので、問題はなかったのですが、ドトールは、入り口付近を見ることが出来ない席だったので、実質24席くらいに座った人を対象としています。


■調査実施

調査は、まずスタバから行いました。

調査開始時刻は、月曜日の14時35分。
天候は曇り。
すでに、10人ほどの客がいましたが、この人達は、何時からいたか分からないため対象となりません。

15時に近づくにつれて、徐々に客の出入りが多くなってきます。
ただ、すでに入店していた人が、なかなか帰らない…。
想像以上に、滞留時間は長そうでした。

何といっても、ソファに座っていた人は、眠ったり、本を読んだりの繰り返しで、帰る気配すらない。
サラリーマンみたいだったんですけど、仕事はいいのでしょうか?(大きなお世話…)

「おー、凄いな」と思ったのが、そのソファ席は、テーブルを挟んで2席ずつになっているんですが、そこを相席する人がいたことです。
たしかに、あのゆったりした席が2つあるのに、一人に独占させるのは、妙な話。
素直に相席にすればいいんですね。
でも、私には、それを言う勇気はありませんが…。
やっぱり一人になりたいです。

調査をしたスタバは、私もよく使いますが、ヤフーBBのモバイルが使えます。
無線LANのカードを持っていたり、パソコンに内蔵されていれば、誰でも高速回線が使える。
そのためか、パソコンを使っている人が、同時に6人いました。
単に読書をしたり、勉強する人は、過去の「喫茶店」にもいました。
でも、このモバイラーを取り込むのは、確実にベネフィットになると、改めて実感できます。

あと一つ、これも最近の特徴なのか、ケータイで電話をしたまま、なかなか席に戻ってこない人が多かったこと。
店内で話をするのは、さすがに憚られると思ったのか、トイレ方面のドアを開けて、出ていくんですけど、10分以上帰ってこないのはザラ。
なかには、相棒を30分以上待たせた強者もいました。
そんなに電話で、何話してるのでしょうか?

本当は、1時間で切り上げようと思ったのですが、なかなかサンプルが集まらず(みんなまったりいすぎるから!)、結局1時間20分ほどいて、16名のサンプルを確保。
慌てて、ドトールに移動しました。

ドトールに入った瞬間、かなりアセったのが、何と満席だったこと…。
ドトールのテーブルでは、さすがに「相席」というわけにもいかず、やむなくカウンターのところで立って、席が空くのを待ちました。
でも、さすがドトール、3分と待たずに、席が空き、座ることができました。

調査開始と思ったのですが、参ったのが、「タバコの煙」…。
タバコを吸わなくなって、改めて思う、煙害の凄さ。
「こんなに臭いモノを、自分は吸っていたのね」と、妙な感慨に耽ってしまいました。

座った席も場所が悪く、しかも客の出入りも激しく、少々難儀しましたが、1時間かからずに17サンプルまで確保でき、目出度く調査終了といたしました。


■調査結果

サンプル数は、同一というわけにはいかなかったのですが、それぞれの平均滞留時間を計算してみると…
【平均滞留時間】
スタバ=30分
ドトール=16分
となりました。
ちょうど、スタバにいるお客さんは、ドトールの倍くらいいると。
ちなみに、グラフにも表してみました。

最長・最短は以下の通り。
【最長滞留客】
スタバ=68分
ドトール=33分
【最短滞留客】
スタバ=5分
ドトール=2分
何かもう、見事なまでに、スタバは「ドトールの倍」になっていますね。
客単価は、「5割増し」ではないかと推察しましたが、客の滞留時間は、およそ倍違う。
これは、どういった影響を及ぼすのか…。


■考 察

スタバの悩みは、既存店の売上高が、なかなか戻らないこと。
客単価は、6月以来、前年同月比100%をキープしていますが、売上高も、客数も80%台

スタバの、売上も減って、客数も減って、客単価だけ戻ったということは、高単価の新製品が寄与したのか、それとも「マニア」が支えているのか。
今回の調査で、観察した客を見る限りは、「新製品」というよりも、「マニア」という感じがしました。

売上高を、もっとアップさせるには、新たに客を吸引するのは現実的ではない。
既存店が、新規客を吸引するには、相当なプロモーションを行う必要があります。
もし本気ならば、CoCo壱番屋や牛角みたいに、テレビCMを打つことは避けられないでしょう。

もしドトール並みの店舗運営をするには、計算上では、客には今の6掛けくらいの時間が帰ってもらわないと、回転率が上がらない。
(ドリンクなどの利幅が、全く異なれば別ですが)

ただ、客を早く帰すことは、ゆったりとした時間を過ごしてもらうという、スタバ本来のコンセプトにそぐわない。
だから、ここは「ドトールの倍」という客の滞留時間を、もっと活用するしかないでしょう。
具体的には、もっとお代わりをさせるか、プラスで菓子類を買ってもらう。

今、「本日のコーヒー」は、100円でお代わりができるらしいですが、これをもっと他の商品にまで広げるということも考えられるでしょう。
カフェオレを、そのままお代わりさせるのは難しくても、コーヒー関係を注文した人は、「本日のコーヒー」ならお代わりできるようにするとか。

菓子類も、カウンターで売るだけではなく、席まで「売りに行く」ということも考えられるでしょう。
ランチタイムや、ディナータイムであれば、菓子類の売上は、自ずと上がるもの。
だから、アイドルタイムにこそ、「オプション商品」を売らなければいけない。
店内で、クッキーなどを焼いていれば、その価値も上がるのですが、それは無理か。

「まったり滞留している立場」からすると、改めて「売りに来られる」と、案外弱いもので、200円くらいまでなら、買ってしまいそう(私なら…)。
いずれにしても、カウンターの一度だけで、金銭のやり取りを終わらせないアイディアが必要でしょう。

かたやドトールの既存店は、7〜8月こそ、94%台だったものの、9月は、ほぼ100%に近いところまで持ち直した

こちらは、回転率をますます上げるしかないはずですが、思いの外、まったりしている人も多いのも事実。
私がいた時には、化粧をしながら、ねむりこけるおばあさんや、話し込む学生がいました。
スタバの300円台を「高い」と思う人にとっては、居心地の悪いドトールのイスでも、十分でしょう。
何といっても、タバコが吸えるし…。

ドトールに「テーブル席」は必要なのでしょうか?
もともと今でも、平均15分ほどで出ていく店。
友人と会話するにしても、面と向かって話すほどでもないはずです。
テーブル席は、1人利用だと、事実上1席無駄になるので、それだけ回転率が悪くなる。
ドトールは、店の作りも、スタバより狭いですから、テーブル席が多いと、店内を歩きにくくなります(=混雑時に座りにくい、喫食後にさげにくい)。
まずは、横並びで座れるカウンター席を、もっと増やすべきなのでしょう。
ドトールにテーブル席は、いりません。


【感 想】

思わぬほど綺麗に出た調査結果に、びっくりしました。
まさかメイキングをしたわけではありません。
だいたい、一人で調査していると、人の出入りの慌ただしさに、そんなインチキをする余裕すらないくらいですから。

ドトールの灰皿は、短時間で帰ってもらえるように、小さく作られているのは有名な話ですが、それと相反するのが、スタバのソファでしょうか。
今や、「似非スタバ店」には、どこでもあります。

でも、あのソファが、経営改善の元凶となっているのなら、もう少し何とかする必要も出てくるでしょう。
ルノアールのソファだって、撤去される店が増え、ガチガチの木のイスに占領されるようになってきた今日この頃。
まったり座れるソファが、いつまでスタバに残るのか…。

仕事に疲れたオヤジのオアシスさえも、都会から消えつつある今、時代の最先端を行くはずのスタバに、それが残っていて欲しい気持ちもあるのですが。