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No.148

気になるCM7月篇
2003.7.8
by Y.Tomizawa


1.復活「毎日骨太」


ついにやりました…。
私の願いが聞き入れられたというか…。(^-^;)

このCMをご覧になったでしょうか?
牛乳のブランド化に成功した元祖「毎日骨太」がようやく帰ってきました。

元々は、雪印の例の事件で、問題となった商品でした。
その後、「毎日骨太MBP」とネーミングを少しズラして、悪イメージを拭おうとしましたが、明治が「おいしい牛乳」で一気呵成に攻めてきたところ、あえなく撃沈していたようです。

雪印乳業は、ご存じの通り、会社としての体をなさなくなり、「市乳事業部」が農協などと一緒になり、今年の正月「日本ミルクコミュニティ株式会社」となりました。
真っ赤なパッケージの「MEGMILK」で、あっという間に「おいしい牛乳」から、棚を奪い返しました。
(個人的には、あんなドギツいパッケージで、こんなに売れると思っていなかったんですが…)

そこへ持ってきて、雪印のブランド「毎日骨太」を、いよいよリニューアル復活させたというわけです。
注目すべきは、そのパッケージ。
「毎日骨太」の文字を、ようやく大きくしてくれました。

実は、2年前の4月のコラムで、こんなことを書いています。

ふふふ、偉そうに、「MBPなんてロゴを大きくしちゃダメよ」と書いているんですね。
2年の月日を経て、ようやく私の言うとおりになりました。(^-^;)

だいたい、「毎日骨太」という語感や、そこから想起されるイメージだけで売れた商品なのに、どうしてアルファベットを前面に押し出してしまうのか、意味が分からなかったです。
とはいえ、事件の影響を少しでも軽減しようと、ブランド名を小さく隠していたんですけど…。

でも、旧雪印の事件もようやく一段落したのでしょう。
事件は、あくまでも人災。
「毎日骨太」というブランドに罪はありません。
その禊ぎが終わったと考えたのでしょう。

絶好調のメグミルクに続いて、この毎日骨太が売れるとなると、牛乳売場はますます大混戦必至。
これに応じて、明治「おいしい牛乳」がどんな戦略で来るのか。
「牛乳」に、大注目です。




2.またベッカム


先頃の来日で、再びブームに火がついた感のある「ベッカム様」。
その後の「タトゥー」が、一悶着も二悶着も起こしたから、なおさらのこと「格の違い」を見せつけてくれた感じです。

そのベッカムが、また新しいCMに登場。

格好いいっすねぇ…。
特に3コマ目のカットなんて、キムタクも勝てないでしょ(たぶん)。
ベッカムがアジアで大人気というのが理解できますね。
純アジア系には、この顔は、絶対にいません。

来日時に、ベッカム様が、あれこれ会見していた中で、「何それ?」と思っていたのが、この「リニューカー」でした。

全然知りませんでしたが、この会社、「カーコンビニ倶楽部」の会社なんですね。
正式名称は「翼システム株式会社」。
カーコンビニ倶楽部だけではなくて、車関係以外のアプリケーションも作っていたりします。
手広くやっているんですな。

その新規事業として、ベッカムまで起用して始めたこの「リニューカー」。
リニューカーというコンセプトに、超金持ちのベッカムがマッチしているのかどうか、微妙なところですが、ここは多分に「自社内向けCM」という意味合いもあるのでしょう。

つまり、それまで「翼システム」といっても、親御さんにもうまく説明ができない会社だった。
今なら、「カーコンビニ倶楽部をやってます」といえば、多少分かってくれるだろうけど、でも美川憲一と神田うのじゃ…。(T-T)

そこへ、「あのベッカムをCMに使っているんだ」といえば、親御さんも一発で納得でしょう。
おそらく、翼システムの今後の採用は、グッと楽になることだと思います。

CMといっても、広くパブリシティとして行うだけではなく、無名企業が有名企業となるための橋渡しとしての意味合いを持つ場合もあります。
このCMは、その好例ではないでしょうか。

しかし、ベッカムのギャラを、よく払えたもんだと感心します…。




3.発泡酒のCM


発泡酒の事実上の増税によって、ビール類市場がまたにぎやかになってきました。
そんな中、サントリーから発売された「楽膳」、かのエジソンを使っています。

おなかにたまらない発泡酒」というのが、サントリーにしては「大発明」だったのでしょう。
で、発明つながりで、コンセプトを膨らませていったら、「エジソン」に行ってしまったと。

というより、このCMは、「エジソンの動画の版権」を獲得できたことで「勝ち」という気がします。
エジソンの写真だけではだめ、エピソードなんて誰でも知ってる。
歴史上の偉人エジソンが、「普通に生活している動画」だからこそ意味がある。
よくぞ、こんな動画を探してきたという気もします。

もっとも、エジソンがビールを飲んでいる動画などないから、そこは「今飲んでもらう」しかない。
途中入るカットが、このCMの限界を露呈しています。

だいたいこのヒト、ついこの前まで、「まいったな…」といって缶コーヒー飲んでたじゃん。(^-^;)
よかったですねぇ、昇進できて。


もう一つは、サッポロから発売された「のみごたえ」。
何か、グルインやフリーアンサーで、「ビールといえば?」みたいな問いかけに、素で回答した意見を、そのまま商品名にしたという感じです。

その「のみごたえ」のCM。
男性にとっては羨ましい、女性からみたら「どうなの?」という感じのCM。

もう一つ、「ひざまくら」のバージョンもありますけど、PTAか、女性団体あたりから怒られそうなCMですな。(^-^;)
男としては、大半が「…(夢想)」となり、女性の前ではちょっとコメントしにくいCM。

というより、女性の手の平で弄ばれる男という構図が、いかにも最近っぽいですね。
高島礼子が着物を着て、料理を作って待っていてくれる家庭とは、だいぶ違います。
やっぱり最近の男女の位置づけは、こういう感じが一般的なんだろうなぁ…と思わざるを得ません。

たぶん、この商品はすぐ消えていく運命にあるのでしょうけど、男女の位置づけの歴史を研究する方には、注目すべきCMでしょう。

「すぐ消えていく運命」と書いてしまいましたが、根拠はあります。
このCMで、バックで流れる歌は、どうしても「でかぼしぃ〜」としか聞こえないんですよね。
だから、私もファイルの名前をつい「dekabosi」としてしまいました。
サッポロのサイトで確認したら、商品名は「のみごたえ」でした。
こんなCM訴求と商品名に齟齬があるような商品は、早晩サヨウナラということです。




4.分かりにくくなったマクドナルド


価格の迷走に、ついに終止符を打とうとしているのがマクドナルド。
7月1日のタバコの値上げなどともに、報じられていました。

でも、今流れているCMの分かりにくさといったら…。

「チーズバーガーを買うためにすることはこれだけ」といって出てくるのが、フリーキックで股間を防御するサッカー選手。
たぶん、「こんな程度で買えます」ということなんだろうけど、意味がすっと理解できますか?
私は、「はぁ?」という感じでした。

マックの価格改定の一連のCMは、どれも分かりにくい。
しかも、3コマ目にあるように、「結局いくら?」なのか分かりにくい。
こんなんでは、かつての勢いを取り戻すのは無理。
「いつでも100円くらいに変えたんだ」ということを、ユーザーに理解してもらうためだけのCMでしょう。

プラスアルファの顧客を呼び戻すパワーは、このCMにはありません。
「当分、マクドナルドはダメだな。」、そう思わせるCMです。




5.つい穿ってみてしまうCM…


アメリカンファミリーのCMに、海老一染之助師匠が出ています。

兄の染太郎師匠が亡くなって1年余り。
「どうやって芸をやっていくんだろうな…」と、勝手に気をもんでいましたが、こんなかたちで復活するなんて…。
アヒルと競演させられるなんて、ちょっと哀しいです。
しかも、「ギャラは同じ」という決めゼリフまで言っちゃって。

達者な師匠のことだから、最後のアヒルを傘の上で回すところは、「実際にやっている」のでしょう。
アメリカンファミリーのサイトを見ましたが、そういうCM裏情報は載っていませんでしたが。

お目出度い芸風だからこそ、哀しさを微塵も見せてはいけない。
でも、見ている方が、どこか寂しくなる…。
タレントの起用も難しいものです。


もう一つは、DDIポケットの「AirH」のCM。

パパイヤ鈴木を起用して、データ通信では「ナンバーワンのシェア」ということを訴求するCMです。
それはドコモの64kなんてスピードより、128kを、ずっと前からやってきたDDIとしては、今さら勝負にならないと言いたいところでしょう。

この手の「ナンバーワンCM」は、アサヒビールがスーパードライが、まだビールシェアでは2位の頃、「生ビール売上ナンバー1」とやって、当時生ビールではなかったキリンラガーをビール首位の座から追い落とすことに成功した。
それ以来、このやり方を真似る企業が多いです。
何しろ、「やられた側」のキリンが、淡麗でいまだに「発泡酒売上ナンバー1」とやっているくらいですから。

しかし、私が注目したのは、この1コマ目と3コマ目のパソコン。
1コマ目のパソコン、これ「パナソニック」のパソコンです。
たぶん、このシリーズでしょう。

キーボードの文字のデザインにまで凝ったものだから、すぐ分かります。
もう1つの3コマ目の右下のパソコン。
これはすぐ分かります。

最小最軽量の「バイオU」です。
そうなると左下の白いパソコンは、ひょっとして「マック」?

DDI関係者が、「モバイルパソコンといえば…」で想起していったのが、松下、ソニー、アップル(?)。
この春・夏商戦では好調なNECや富士通は、こういうところに使われないんですな。
反対に、松下やソニーのパソコンは、ブランドイメージが形成されていると考えてよいのでしょう。
パナソニックのシェアを考えると、ちょっと(というかかなり)疑問が残りますが、パナソニックブランドの意外な強さを見せているのかも知れません。




6.タレントの強さと売上への影響


最後に、コカコーラの「爽健美茶」のCM。

爽健美茶といえば、これまで「無名」の女性タレントを使ってきました。
その後最も有名になったのが「本上まなみ」。
彼女を有名にしたのが「爽健美茶」でした。
それが、この前のバージョンから、「あれ?」と思って見ていたら、やっぱり「常盤貴子」でした。

爽健美茶のCMに起用される女性は、本上まなみ以来、みんな「涼しげな美人&スリム」であることが必須条件だったような気がします。
それが、よりによって正反対に位置づけられる常盤貴子…。

いいのでしょうか?
個人的には反対です。
やっぱり、爽健美茶には、無名のモデルみたいなタレントを起用して、そこから有名になるようにして欲しかった。
しかも、常盤貴子といえば、女優としても、CMタレントとしても優秀だけど、ちょっとしたゴシップもあったりして、イメージは必ずしも「爽やか」ではない。
だいたい「巨乳」だし…。

CMのトーン&マナーは、これまで培ってきたものを損なわないよう作られていると思います。
ただ、「常盤貴子か…」と思ってみてしまうと、ちょっと残念な感じがします。

で、これで爽健美茶の売上がどうなるかというと…、たぶん全然変わらないでしょう。

もともと混合茶のメインユーザーは、子供を持つ母親。
(緑茶、烏龍茶より味にクセがないから、子供に飲ませやすい)
幼児を持つ母親にしてみれば、爽健美茶のタレントが、モデルみたいなスタイルだろうが、有名巨乳タレントだろうが、あんまり関係ないでしょう。

それに、コカコーラの売上の主力は自販機。
「そこにそれしかなければ、その商品を買うだけ」です。

CM業界的には、エポックな転換ですが、ユーザーとしては、あんまり大勢に影響を及ぼさない転換でしょう。
こういうCMも「あり」ということです。