TMtown TOPへ  自称日本一の更新頻度「東京ユビキタス放浪記」



No.144

ソニーショックからIT業界を考える(2)
2003.6.10
by Y.Tomizawa

問題は、ソニーの開発者に、製品に対する愛情が感じられないことなんですよ。
熱いものが見えてこないというか。
たぶん、たくさんの愛情を注いで作った製品なんでしょうけど。

ソニーは、今夏発売製品から、「バイオカラー」の「紫」を本格的に止めたみたいです。
例えばこれ

この製品だけを見たら、「お、格好いいじゃん」と思うんですけど、「白」は、この春東芝がダイナブックを、大胆にモデルチェンジして使ってきた。

だから、感動というよりも、「何を今さら…」と感じてしまう。
何より、アップルファンにバカにされそう。

「銀パソ」一辺倒だったパソコン市場に、「紫」という大胆なカラーで製品を投入して、一気に市場の一角を占めたバイオ。
そのコンセプトカラーであるはずの色を変えてしまったことの意味は、重大だと思います。
(個人的には、あの色が嫌いなので嬉しいんですけど…)



今、パソコンショップや売場に行くと、遠目に見て、どのメーカーの製品がどこにあるのか、ちょっと分かりにくくなりました。
前は、「売場が紫っぽければソニー」「黒っぽければIBM」「それ以外はそれ以外の会社」みたいな感じで思っていました。

それが、NECが昨年、ちょっと洒落たパソコンを出してきて、この春、よく言えば「愚直」、悪く言えば「ダサい」象徴だった東芝・富士通も格好いいのを出してきた。
富士通ビブロなんて、私が使っていた頃に比べて、「一体どうしちゃったの?」というくらいの格好よさです。

私が今のバイオノートを購入したのが、昨年正月。
やっぱり紫が気に入らなかったんですが、デジカメがソニーで、その他、デザインのことも考えると、やっぱりこれしかないと思った。
でも、今、何を買うかと問われたら、ちょっと迷いそうです。

メモリースティックの問題も、汎用スロットのPCカードを使えば問題ない。
「ソニーの思惑」は、すでに強固なものではないんです。
デザイン面では、包み隠さず書きますと、数ヶ月前、今の「白いダイナブック」を見た瞬間、「いいねぇ…」と思っちゃいました。(^-^;)
「欲しいな…」と。
スクリーンセーバーの白いアザラシも、可愛かったし…。(^-^;)



ソニーとしては、「よりスタイリッシュを追求した」ということなんでしょうが、他社もどんどん洗練された製品を投入しているのだから問題です。
ソニーは「紫」を捨てたことで、結果的に、他社と同じ土俵に乗ってしまった。
これ、要するに、「色やデザインは、もはやベネフィットにならない」ということです。

ソニーは、消費者や競合企業の、半歩先、一歩先を行ってこその会社。
ウォークマンしかり、MDしかりでしょう。
ベータは、半歩先にこだわりすぎて、戦略を誤ったんでしょうが…。

先般発表された日経BPコンサルティングの「ブランド・ジャパン2003」で、ソニーのブランドイメージは、「ディズニー」とともにダントツだった。
しかも「イノベーティブ(革新)」イメージが偏差値100を超え109.1。
2位のディズニーが98.6、ノーベル田中さんの3位島津製作所でさえ97.7なんですから、いかにソニーの「革新イメージ」が重要なのか分かるでしょう。
(※日経ビジネス03年5月5日号特集より引用)

競合と同じ土俵に乗ったら、ソニーの「革新イメージ」は凋落したも同然。
ソニー内部の人から見れば、「自分たちは、他社に比べていいモノを作っている」と思っているかも知れませんが、ソニー製品は「他社と比べられた時点で終わり」です。
ソニーは、他社と同じ土俵に乗ってはいけないんです。
相手が「相撲で勝負をつけよう」と仕掛けてきても、「プロレス」ですらなく、「マラソンを一人でやっている」くらいの違いを見せつけないとダメ。



なぜ同じ土俵に上がってはいけないかというと、ソニーの永遠の課題、「すぐ壊れる」というイメージがあるからです。
あちこちの掲示板を見ても、ソニーについて回るこのイメージだけは、どうしようもない。
都市伝説でも何でもなく、本当にダメな製品に当たってしまうと、本当にダメ。

私は、30年前に「カセットデッキ」で苦い思いをさせられました。
今のバイオは…、そんなことはないけど、いつも不安はあります。
「翌朝立ち上げたら、突然壊れてないか…」とか。
「毎日バックアップすりゃいーじゃん!」と叱られそうですけど、そんな面倒なこと誰もしませんがな。

それに比べて、東芝や松下は、洗練されていない分、「しっかり作っている」というイメージが強い。
事実、結婚した時に買った東芝のテレビ「バズーカ」は、10年以上経つのに、画面がちらつきもしません。
だから、PDPを買おうにも買えない…(悩)。

私が就職した時に、最初のボーナスで買った松下のCDラジカセは、液晶の時計表示がおかしくなった以外は大丈夫。
もう20年近く使っていることになります。
今は子供専用機になってますが…。

まあ、「VAIO」は当分ダメなんでしょう。
しばらくは、「実用的イメージ」はデルが握ってしまった。
ソニーが捨て去ってしまった(?)革新イメージを、どこかが奪取できるのか。
パソコン業界の焦点は、そこに絞られているのでは…。



もっともバイオは、パソコンの競合と戦うだけでなく、自社同士のカニバリも考えなくてはいけません。

先日発表された「PSX」、そして「コクーン」とどのように棲み分けされるのか。
http://www.zdnet.co.jp/news/0305/28/njbt_04.html
(PSX記事)
http://www.jp.sonystyle.com/Cocoon/Product/Tv/index.html
(コクーン)

PSXの記者会見では、
「次世代のデジタル家電は、はたしてそれがパソコンなのか、家電なのか、ゲームなのかという回答が今まで出されていなかった。ソニーとしては、全てが融合したこうした新しい商品だと考えている」(久夛良木SCEI社長)
との発言もあったようですが、では、バイオやコクーンと、どうつなげられるのか?
私には、今ひとつイメージできません。

ちなみに各機の主な機能は以下の通り。
●PSX :ゲーム、DVD記録・再生、HD、アナログTV・BSチューナー
●コクーン:アナログTV・スカパーチューナー、HD
●バイオ :DVD記録・再生、HD、(インターネット&メール?)

今注目の「コクーン」の中身を「PSX」に積んだら、「コクーン」はいらないという感じがします(違います?)。
「バイオ」は、ネットを見たり、メールのやり取り、画像・映像の編集作業などに使われることに特化してしまうのでしょうか。
バイオは、というかパソコンはハード事業としては儲からないと、長年言われているから、今後粛々と縮小されていく運命にあるのでしょうか。

何より、ソニーとして、この3つを「全部買え」と言っているのか、「お好きに組み合わせることができます」と言っているのか、今ひとつ分かりにくい。

ちなみに、実際にこれらを有機的に機能させるには、この3つだけではなく、無線LANポイントやルーターも必要。
家庭内は大混乱になりそうです。

よく考えたら、そのうちPDP(か液晶?)の大画面テレビも普通になって、5.1chサラウンドスピーカーも普通になって、家庭のリビングルームが、一大メディア&オーディオセンターとなるのでしょうか。
私としては嬉しいんですけど、きっと家庭のあちこちは、こんな風になることでしょう。

大変です、掃除が。(^-^;)
どこかの会社が、この辺の問題も含めて、次世代ネットワーク考えてくれないものでしょうか。
自分勝手な理想ばかり追求するのではなくて。