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No.137

戦略の転換
2003.4.22
by Y.Tomizawa

タマちゃんが、ついに埼玉進出。
本当に同一人物、ならぬ同一アザラシなの?(^-^;)
しかも、今度は2匹?

何でも埼玉県の中川って、水質が全国ワースト4位だそうじゃないですか。
鶴見川はワースト3位。
ちなみに、第5位は兵庫県の猪名川。
兵庫の皆さん、タマちゃんの到来を、今から待ちかまえていましょう。<(_ _)>

それにしてもアザラシって、汚染された川が好きなの?
帷子川だって、かな〜り汚いし。
それとも、河川浄化キャンペーンの派遣社員とか?(^-^;)

そんな汚いところにいないで、元の「多摩川」に戻ってくればいいのにねぇ。
と、毎日東横線で多摩川を超えるたびに思うのでした。
丸子橋付近の多摩川は、少なくとも緑色で綺麗な感じですよ。
鉄橋から、魚が泳いでいるのが、たまに見えるしね。


でも、まさか、「アザラシが大量発生」なんてことにはならないでしょうな。
この前の「ボラ」みたいに、川一面にウヨウヨいたら、とたんに不評を買うだろうな。
「捕獲やむなし」みたいな論が出ることは間違いなし。
そうしたら、「タマちゃんを見守る会」が不利になるのかな。
この前、捕獲し損ねた「想う会」の発言が、俄然注目されたりして。

まあ、どっちもどっち、ほっときゃいいんだ、という意見です、私は。
だいたい「ボラ」はどこに行ったの?


しかし、本当なら、鶴見川でツルちゃん、帷子川でカタちゃん、今度は中川でナカちゃんとなってもおかしくないのに、未だ「タマちゃん」と呼ばれるのは、単に多摩川に最初に現れたからではなく、「ネーミングの良さ」もあるはず。
呼びやすいですしね、「タマちゃん」だと。
可愛らしい感じもするし。

これが、「ツルちゃん」だと戦前生まれのおばあちゃんみたいな感じだし、「カタちゃん」だと、ちょっと呼びにくくて「カタやん」みたいに呼んじゃったりして。
そうなると今度は、近所の金物屋のせがれみたいな感じもしますな。

「ナカちゃん」だと、どうなのかな…。
あだ名なんかつけられたことないのに、無理矢理仲良くなろうとして、とりあえず名前の最初の部分に「ちゃん」だけつけられたって印象も。(-_-;)ヨウワカランデ…

たかがアザラシ騒動にも、ネーミングのヒントが隠されている…と考えれば、日本もまた楽しなのかも。(^▽^;ンナコターナイ



1.吉野家の戦略の変化


牛丼の吉野家が、毎月9日・10日に行っていた「牛丼の日」を廃止するそうです。
この日に牛丼を食べると、クジでさまざまな賞品が当たるというキャンペーンでした。
私は、しょっちゅう牛丼を食べているんですが、一度も「牛丼の日」に食べたことはなかったな…。
混んでいるのが、イヤということもありますが。

毎月賞品が違ったようだから、コストも馬鹿にならなかったのでしょう。
吉野家は、このキャンペーンだけでなく、毎年春秋に行っていた「30円引きセール」も廃止するそうです。
安部社長いわく、「ブランドイメージが傷つくから」とのこと。


これは正解でしょう。
世の中デフレと言われ始めて、あちこちで価格を下げることとなって、吉野家も01年に、それまでの並盛を、400円から280円にしました。

価格帯だけの比較なら、「ハンバーガー」や「讃岐うどん」よりも高いことになる。
彼らとの競合を真剣に考えるのなら、並を200円程度にしないと、やっていけないとなるはず。
でも、そんなことは経営的にも考えられない。

やみくもに「値下げ」すればよいというものではないことは、マックの価格戦略の迷走で、皆にいい教訓を与えました。
吉野家は、「価格戦略」よりも「ブランド戦略」を重視したということです。


たしかに、味もサービスも現状を維持してくれて、さらに安く食べられるのなら、ユーザーは嬉しいに決まっている。
でも、仕入れや、店内のオペレーションに「革命」でも起きなければ、そんなに価格を下げられるはずがない。

安易な値下げは、従業員に負担を押しつけるだけです。
人件費を「見えざるコスト」とし、内部の負担を増大させて、顧客に還元する。
短期的には成功する戦略ですが、長期的にはほぼ確実に破綻する戦略でもあります。
何より、従業員のモチベーションが上がりようがない戦略は、取るべきではない。

さらに、安部社長のいうように、「価格」は「ブランドイメージ」とも密接に関連しています。
経営上、無理のない「低価格」であるのなら、その価格が「業界の標準価格」となり、高いブランドイメージを形成することに寄与する可能性はある。

「ユニクロ」は、まさにこれでしょう。
それまで、消費者には(結果的に)不透明だったカジュアル衣料の価格を一気に下げ、ファッション業だけでなく、ファッションを取り扱う流通業にも革命を起こした。


私は学生の頃、「ニチイ」(後のマイカル)の洋品売場でアルバイトをしたことがありますが、「値付け」は、かなりいいかげんなものでした。
20年も前のことになりますが、例えば「女性用ブラウス」は、仕入れ原価はだいたい皆同じで、1着900円くらい。
それを、売場の主任がパッと見て、デザインが良さそうなものだと、「49消しの29」とか、私に指示するんですね。

要するに、定価4900円として、それをセール価格で2900円で売っていますという値札をつけろということ。
4900円は黒字のスタンプ、2900円は赤字のスタンプを押します。
私が見ても「これはちょっとオバサンっぽいな…」と思うようなデザインだと、「39消しの19」となる。

洋服の原価なんて、工場で大量生産をするものなら、そんなに変わるはずがない。
だから、ちょっとしたデザインや、微妙な生地の色合いが、勝負の分かれ目なんですね。
売場の主任も、販売価格の決定権は持っていても、売れ筋をしっかり抑えていないと、売れるものに低い価格をつけてしまうことになる。

おそらく、洋品業界はどこでもこういう価格設定をしていたのでしょう。
それをユニクロは、言ってみれば「固定価格」のようなイメージで、大量生産、大量販売をやってのけた。


「不透明な価格設定の市場」であれば、「低価格戦略」は確実に効果を生み出します。
最近の「はんこ屋」も、この一例でしょう。
1本1万円、下手をしたら1本10万円などという価格設定をしていた印鑑業界も、今は三文判なら1本100円以下で買える店があります。
元々「そんなに売れるはずがない」という常識に囚われていて、そこからはじき出した価格だったのでしょう。
今は、あちこちの街角に、明るい看板のはんこ屋さんが見られるようになりました。

讃岐うどんの「はなまるうどん」も同じか。
立ち食いうどんでさえ、最低1杯300円前後する「関東のうどん」は、本場讃岐では「非常識な価格」に見えたはず。
大量販売できるのなら、1杯100円でもやっていけることは、香川県では当たり前なのですから、「価格破壊」なのではなく、「不当な価格設定を破壊」しただけです。

吉野家の280円の牛丼は、はなまるうどんの100円のかけうどんや、1900円のフリースとイコールと考えてよいでしょう。
そして、どちらもこれ以上値下げしたら、「品質に問題があるのではないか」と、ユーザーは感じると思います。
具体的に、どこかに問題を感じるのではなく、「品質に対する不信感が醸成される」ということでしょうか。


こんな状況で、いつまでも「価格競争」に走るのは、企業にとっても得策ではない。
販売商品の品質イメージが低下したら、そのまま企業イメージも低下することは必至ですから、吉野家の戦略転換は賢明なものといえるでしょう。

今後、松屋、なか卯など、他の牛丼を出すチェーンがどういう価格戦略にするのか、また、我々から見て、どのようにチェーンイメージが変化するのか、見守りたいところです。



2.経営再建と社風


ダイエーが、相変わらず苦戦中。
高木社長も、あれこれ手を尽くしているようだけど、ボタンのかけ違いもあり、ボタンのし忘れ(?)もありのようで、傍から見ている限りでは、もはや…という感じがします。

「ダイエー苦戦」の記事は、毎月上旬、前月の売上結果をダイエーが発表するたびに載っていますが、この前、気になるコメントがありました。
それは、ダイエーの社風を、高木社長が以前いたリクルートっぽく、明るい感じにしたいらしく、上司を「さん」づけで呼んだり、服装の自由化などを推進していたらしいです。

ところが、それに「待った」がかかった。
「リクルートのような社風は、経営再建中の会社にふさわしくない」ということらしいです。

待ったをかけたのは、誰でしょう?
ダイエーの債権を管理している金融機関だそうです。
私が、リクルートOBだからというわけではありませんが、何だかおかしいと思いませんか?

リクルートの社風として、よく言われることは、「上司を肩書きで呼ばない」「男女の差別が全くない」「同好会的雰囲気」などでしょうか。
これら以外の要因も、さまざまに絡み合って、「明るい雰囲気の会社」とよく呼ばれます。
おそらく、こういう「雰囲気」が経営再建中の会社にはそぐわないということなのでしょう。


確かに、人様から膨大な借金をしていて、それを返せるのかすら分からない。
というより、たぶん返せない(はず)。
そんな会社の従業員が、「明るく振る舞うとは何事だ」という意見なのでしょう。

でも、もしダイエーの従業員が、本気で会社を建て直したくて、何年かかろうが借金はきっちり返済するという意志があるのなら、ときに「空元気」も必要でしょう。
もちろん、いつまでも借金返済を待ってくれるわけでもないし、これだけ棒引きしてもらっておいて、という言い方も分かります。

ただ、じゃあ平身低頭、日々あちこちの方面の顔色をうかがって、ペコペコしながら営業をして、会社を再建できますかね。
私は、全く違うと思います。


具体的に、ダイエーの社風をどのようにしようとしていたのか、詳しくは分かりませんが、それまで偉大な創業者の暴走に、なすすべもなく押さえつけられてきたからこそ、あんな風になってしまったのでしょう。
圧政で失敗したのだから、むしろ今度は、従業員にノビノビやらせていいと思います。
バグダッド解放じゃないけど…。

新しく動き始める時には、今までの慣習を破壊することも大切な戦略です。
実際の行動で「ここが変わった」と、日々実感できる戦略をとることが重要なんです。
「社名変更」をするとかね。
社名のロゴデザインを変えるだけでもいい。
「社風」が一日にして変わるとは、到底思えませんが、「変えようという意気込み」は必要です。

そんな気持ちを踏みにじるかのような金融機関の発言。
「だいたいそんなんだから、あんたんたちも経営再建できないんじゃないか」と言いたくなるのは、私だけでしょうか…。



3.スタバよどこへ行く


先週も取り上げたスターバックスが、イオングループ出身の桝田氏をCOOとして迎え入れるそうです。
桝田氏は、イオンで経営管理や情報・物流部門を手がけた「流通のプロ」。
スタバも、今以上の拡大を目指すにあたって、チェーンオペレーションのプロフェッショナルが必要だったのでしょう。

1000店規模のチェーンを維持しようとすることに、不安になるのは理解できます。
出資企業であるサザビーにしても、トータルの店舗数は400弱。
スタバは、すでに454店なのですから、不安になるのも当然でしょう。
しかも、ここ1年半以上、既存店の売上高・客数・客単価のすべてが前年割れで、さらにその低下率がますます拡大しているのだから、外部の血を受け入れることはやむを得ない気もします。
スターバックス月次IRレポート

ただ、この人事にあたっての角田CEOの談話で気になる点がありました。
それは、「100店や200店規模の店舗運営に不安はないが、500店や1000店という規模は、我々にとって未知の世界。効率やサービスの質向上では甘さが残る。その世界に通じ、改善できる人に来てもらった」(角田裕二CEO、日経MJより)というものです。
店舗運営の効率が下がることは理解できても、「サービスの質向上に甘さが残る」とはどういうことなのでしょうか。


スタバは、それまでの、どの喫茶店やコーヒーチェーンとも異なり、「コーヒーを飲ませる店」ではなく、「コーヒーを飲む雰囲気を楽しんでもらう店」として評価されてきたはず。
コーヒーの味よりも、「サービスの質の高さ」こそ生命線だったのではないでしょうか。

200店までは、しっかりとしたサービスを提供できて、201店目から急にサービスの質が落ちるなどということはありえません。
サービスの質は、本人達が気付かないうちに、ジワジワ落ちるものです。
角田CEOの発言は、裏を返せば「サービスの質に綻びが見え始めている」ことの表れともいえるでしょう。


角田氏は、石原裕次郎と親交があったことなどの印象もあり、日本の過去の経営者には見られない雰囲気を感じます。
「過去の経営者」とは、分かりやすく言えば、中内功や藤田田に代表される「あくの強い」方のことです。

ともすれば、暴論とも受け取られかねない発言も辞さずという態度で、さまざまな常識を破壊してきたのが、これまでの経営者像。
しかし、角田氏は、見た目の印象では、とても経営者には見えない。
「白洲次郎」みたいな、どこか世を達観したような感じがします。

そんな彼個人のイメージが、「たかがコーヒー屋」を「サービスの提供の場」と変化させることを、少なからず後押ししていたはず。
それが、こともあろうに、大手流通業出身の人に、サービスの指導を仰がなくてはならないなんて…。

イオングループは、現在でこそ日本一の流通業となっていますが、「サービス品質が高い」という印象は、私にはありません。
合理的な経営を推進することで、現在の地位を勝ち得たという気がします。

桝田氏が、イオンでどのような関連企業を見てきたのか分かりません。
ただ、イオングループ自体にも、高サービス企業といえるものはない印象です。
そんな企業グループ出身の方が、スタバが今後目指すべきサービス像を描けるのでしょうか。


現在の上場企業で、株主を無視した経営は許されるはずがありません。
だから、あらゆることに敏速な対応をすることが望まれています。
今回の人事も、その延長線上にあるのでしょう。
ただ、スタバの生命線を手術するのに、本当に外部の手が必要だったのか、私には納得がいきません。

現に、「内部に優秀な人間はいるが…」と角田CEOも言っています。
私は、スタバの人たちは、他の企業に人的サービスのコンサルティングすることができるくらいの迫力を持って、店舗運営に当たっていると思っていました。
「こんにちは」とお客様に呼びかけるのは気に入らないけど、ホームページでミッションと掲げている内容は、十分理解できます。
こんな立派なミッションを掲げているのに、どうして内部の人間だけで改革できないのでしょうか。


多店舗展開してくると、ピラミッド構造が進み、トップの意志を直接伝える機会が減ってきます。
トップの意志が見えなくなると、直接薫陶を受けたことのない者は、自分たちで「基準」を作ってしまう。
ただ、その基準が、少しずれていることは、ままある。
最初は、本当に「小さな綻び」なんですね。

この点、「あくの強い創業者」であれば、たとえ本人が直接伝えなくても、さまざまな伝説が一人歩きしてくれる。
ことの是非は別として、中内功という人間は、曲がりなりにも売上高2兆円を超える帝国を築き上げた。
最後の最後に失点をしたかも知れないけれど、藤田田は、4000店に達するショップを展開することに成功し、日本にハンバーガー文化を定着させた。

それに比べて、柔和な雰囲気の角田氏は、自分の意志を伝えるには、400店規模が限界だと感じた。
多店舗展開を目標とするなら、角田氏の「あくのなさ」は、経営者として弱みとなってしまいます。


いや、仮に角田氏の影響力が、1000店規模を目指すスタバの従業員に、あまねく届かなくてもいいと思います。
過去の名だたる経営者のように、強圧的とも取れるような態度は、彼の本意とするところではないでしょうし。

むしろ、スタバのサービスとは、マクドナルドに代表されるような画一的なオペレーションではなく、アルバイトまで含めた従業員一人一人のオリジナルなサービスのはず。
比較されるべきは、おそらく「ディズニーランド」でしょう。

ただ、ハウステンボスの出資にすら、判断を保留するオリエンタルランドと、高サービス店で1000店を、急速に達成することを目指すスターバックス。
元々、スタバは、相当な無理難題を目標としてしまったのかも知れません。


それでも、スタバが本気で1000店を目指すのなら、それを達成した時に、自分たちの手で作り上げたものか、外部の手を借りたものかで、その後のモチベーションに大きく影響すると思います。

誤解を恐れずにいえば、少しくらいミスがあってもいいと思います。
そこに「正しい向上心」さえあるのなら。
それを教訓として、失敗を繰り返さず、着実に日本のスタバオリジナルのサービスを考えればいい。

スターバックスに株式投資した人も、長期的保有を考えている方であれば、「スターバックスのサービスに将来性を感じて買った人」も多いはず。
その人たちが期待することは、大手スーパー出身者が教えてくれるサービスではないと思うんですが…。


スタバが成すべきは、仮に1000店規模になったとしても、「画一的でないサービス」を提供することだと思います。
そして「画一的なサービス」の代表といえるのはマクドナルド。
全国どこへいっても、同じようなサービスを受けられるマクドナルドこそ、チェーンオペレーションにおける理想像の一つでしょう。

スターバックスが目標の1000店を達成した時に、すでに4000店に迫らんとする店舗を抱えるマクドナルドと、どれだけ異なるオリジナルなサービスを提供できているのか、その時、今回の人事の結果が評価されることになりましょう。