十八日目:  タクシー業界の長期的展望


京都のMKタクシーが、東京に進出して、だいぶ経ちました。私は、まだ一度も乗ったことはないのですが、料金も安く、しかも高いレベルのサービスを行っていることは、東京のタクシー事情からすると、画期的ともいえます。
このような環境下にありながら、タクシー料金自由化の流れに、タクシー乗員組合が猛反発しています。
その拠り所は、「料金値下げが、運転手の過剰な労働を生み、ひいては乗客の安全すら損ねる」というものです。すごい三段論法ですね。疲れたら、休めばいいのに。体力のある人が運転手になって、体力のない運転手は淘汰されると、どうして考えないのでしょうか。
ということで、この「タクシー業界」の長期的展望は、どのように考えたらよいのでしょうか。もちろん、MKタクシーを除いて考えてもいいですし、リード役と考えてもいいです。タクシー業界といえども、個人タクシーから、日の丸自動車などの大手タクシーから、中小タクシーまで、さまざまです。今後、どのような運命にあるのでしょうか。

3週間くらい前に初めてMKに乗りました。車はワンランク上のハイヤークラス、挨拶や接客態度も非常に好感が持てました。おまけに安いし。

しかし、タクシー業界ほど、客を客とも思わない業界は無いでしょう。
最近、MKなどの進出で、東京のタクシーは前ほど、酷くなくなりましたが、川崎なんか最悪です。ワンメーターの距離で行き先を告げて返事をされる割合は3割以下。中には、あからさまに文句を言ったり、一方通行の道を100キロで暴走したり、ウチの嫁さんなんかは、釣りを全て5円玉で渡されたこともあるそうです。
どこの世界に、お金をもらって文句をいう商売があるでしょうか?

今の問題は、全てここにあると思います。客相手の商売の中で、タクシー業界だけが(だけではないが)、規制に保護されたまま、「顧客の立場」という視点が全く無い状態で、今までやってきたのです。

先日、ニュースステーションで、タクシーの運転手が生で登場して、久米宏にインタビューされていました。運転手の立場が危ういのは、充分分かりましたし、労働者の立場として保護されるべき点はありますが、彼らの口から「お客様のため」「顧客のため」という言葉は1回も出ませんでした。
それどころか、「今の状態では顧客の安全を保障しかねない」と、道路交通法に関わるような持論をテレビカメラの前で堂々と展開したのです。呆れました(もっと呆れたのは、久米宏がそれに理解を示したコメントをしたことですが)。

どこの世界に、自分達の食い扶持がなくなるから、サービス低下もしょうがない、などと言うビジネスがあるでしょうか?
自分達の食い扶持を稼ぐために、顧客により良いサービスを提供するのが、資本主義社会の普通の考え方です。

彼らは、顧客サービスの改善や、コスト削減につながる提案を、会社側にしたことはあるのでしょうか。まず無いでしょう。この問題で、運転手個人だけを責めるのは酷でしょうが、運転手も含めたタクシー業界の、意識の低さが一番の問題です。
ごく当たり前の考え方であれば、MKも特別なことをやっているわけではありません。助手席から飛び出さなくてもいいですが、客が乗ったら「いらっしゃいませ」、行き先を告げたら「承知しました」、ただそれだけです。

MKの優れたところは、経営体質を見なおしコスト削減につとめて、料金に反映させているところですが、現段階ではそこまでしなくても、社会であたりまえのことを実践するのが先です。

今後タクシー会社が生き残るためには、ターゲットとなる顧客を絞った展開にすることと、タクシー乗車方法の改善です。

ターゲットとなる顧客を絞るのは、既にいくつかの会社が行っています。品川の京浜運輸が、全てリフト付きのワゴン車で営業し、車椅子利用者を中心に好評なこと、世田谷のタクシー会社が、夜だけの営業に切り替えて、業績を伸ばしていること、1500CCの車で料金を押さえている会社が、いくつかあることなどです。
まだまだこのような会社は少ないですから、アイデア次第では、業績を伸ばす余地は、充分にあります。中小のタクシー会社は、このような独自性を打ち出して、生き残っていくのがベターなのではないでしょうか。

問題は大規模な会社です。少数派ユーザーだけを相手にしているわけにはいきません。そこで、乗車方法の改善とその徹底広報です。
現在の最も問題は、タクシーを選べないことです。どこの駅でも、順番にタクシーが並んでおり、その順番を無視した乗車は、基本的にはできません。
MKが電話一本で無料迎車サービスを行っていますが、基本的に台数が少なすぎます。

そこで、MKが主導となって、迎車作戦を展開するのです。今後増えるであろう「顧客側の視点に立った」会社が提携し、一定以上の台数を確保し、「タクシーは迎えに来るもの」として、徹底した広報を行うのです。
難しいことではありません。田舎では、電話で迎えに来るのが一般的です。電話番号は、統一したフリーダイヤルにし、場所と名前、人相を言えば、無線連絡で近くにいる車が5分以内に迎えにくるのです。
目的地に着く時間を見計らって、連絡しておけば、待つこともありませんし、特に女性は、多少待っても安心して乗れるタクシーを選ぶでしょう。それで、料金が安ければ言うこと無し。

実際は、乗車場所や規制など、いくつかの問題はあるでしょうが、そうした動きを業界が見せ、顧客に知らせることでニーズが高まれば、解決する手段は見えるはずです。

現在のタクシーの「コアベネフィット」とは、どのようなことなのでしょうか。もちろん、MKは除きますが。

一、「(クルマがとおれる道であれば)出発地から目的地の近くまで行けること」
二、「座っていけること」
三、「24時間営業であること」
などでしょうか。つまらないですね。こんな程度のベネフィットでは、顧客の顔が見えてこないのも無理はありません。
MKは、おそらくこれらに、
四、「快適に移動していただく」
というベネフィットを加えているのでしょう。

タクシー業界が、手前勝手な論理にとらわれ、「サービス精神」を理解しない限り、将来は見えてこないでしょう…といいたいところですが、そこは「規制」のある業界。しかも、タクシーに対する総需要は減っているものの、ゼロにはならない(だろう)。ここが問題です。
地方ではわかりませんが、首都圏など「法人利用」が見込めるエリアでは、ハイヤーこそなくなっても、タクシーはなくならないでしょう。このような、甘い業界が、最も恐れなくてはならないのは、何でしょうか。

それは、「不乗車運動」でしょう。「タクシーは割高だから、乗るのをやめましょう」という考え方が、個人レベルに浸透してくると、まずいでしょう。
似ているかもしれませんが、経費節減だから「乗らない」という消極的な態度ではありません(これだと、景気が回復したら乗るということになる)。あくまでも、「乗らない」という「意志を持ってしまう」ことです。

このような「消費者運動」(のようなもの)を抑えるためには、徹底的な「同情作戦」しかないでしょう。
元々、タクシー業界に就職する人は、「わけあり」の人が多いです(運転手から聞いた)。リストラ対象となった人の、受け皿会社としての「タクシー業界」だったわけです。生活は厳しい人が多いです。このような人を、どんどんマスコミの取材に応じさせ、「我々をどこまで苦しめるんだ」とやれば、世間の目はごまかせます。
※ただ、中小タクシーの運転手はこのとおりらしいが、個人タクシーで要領のいい運転手だと、楽に年収が1千万円を越えるひともいるそうです。

私は、MK程度のサービスは、仮にマネをされたら、簡単にできてしまうことなので、非常に危ういものだと思います(とはいっても、今の業界平均を考えると、すぐに競合が現れるとも思わないが)。
私のタクシー業界改革案は、以下のとおりです。

一、運転手は「全員女性」
→何より、「やさしい」イメージが出てくる。女性の職場提供にもなるし。何と言っても、絶対に話題になる。シーズスタッフとか、やればいいのに。ただ、夜間でなくとも、どこに連れて行かれるかわからないので、女性運転手自身の身の安全が、最大の問題だろう。

二、乗ってみたらビックリ「ホステスタクシー」
→運転は、やはり男性にまかせましょう。しかし、後部座席に乗るとビックリ、なんと可愛い女性がいるではないですか。目的地に到着するまで、飲食は言うに及ばず、軽妙な話題、マッサージ…と、いたれりつくせりのサービスを提供します。ただし、料金はワンメーター千円から。30分ほど乗ると、ざっと5千円といったところでしょうか。風営法の許認可を得る必要も出てくるでしょう。特に、深夜タクシーは、大変なことになりそうです。

 

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