八日目: インスタントみそ汁市場の急拡大


永谷園の「減塩みそ汁」が売れている。減塩ものだけではなく、旧来からある「あさげ」も売れている。ここにきて、インスタントみそ汁市場が急拡大している(詳しくは、資料を探してみてください)。
なぜ、今の時期に売れ出したのだろうか。何が変わってきたのか? 永谷園のCMの効果も考えられますが、今回は、それ以外の部分にスポットをあてて、答えてください。ちなみに、売れているのは、永谷園だけではなく、各社売れているらしい。

インスタント味噌汁が売れる理由。生活形態の変化と、食生活の変化。
まずは、生活スタイルの変化が挙げられる。いまさらではあるが、女性の社会進出により、料理を材料から作る時間が減ったこと。
それだけなら最近にはじまったことではない。もっと大きな生活スタイルの変化は、男性が料理を作らざるを得ない立場になったことだろう。
ここ最近の夫婦は、10年くらい前に比べると、間違いなく男女平等の意識が進んでいる。それにより、男性も当たり前のように料理を作るようになった。男性も、もちろんほとんどが働いているので、なるべく時間をかけずに、料理を作らなければならない。

生活スタイルは突然変わるものではないので、もしかしたら大きな理由にはならないかもしれない。

原因は食生活の変化ではないだろうか。
そのひとつは、最近の料理ブームによる食のバラエティー化である。1週間のうち、日本食を家で食べるのは何回くらいか。間違いなくその回数は減っているはずである。フレンチ、イタリアンにはじまり、中華、韓国料理など料理ブームで日本人の食のバラエティーは非常に広がった。

しかし、その材料をいつでも豊富に取り揃えられるのは、ごく僅かな家庭だけであろう。食事を作る時、レトルトやインスタント食品の手助けを、何らかの形で受けるのは、もはや当たり前の世界だ。
ではなぜ味噌汁か。

食のバラエティーが広がっても、味噌汁を食べたいという意識を持つ人は多い。それが毎日でなくても、1週間に1回も味噌汁を食べなくてもよいという人は稀であろう。

そこでインスタントなのである。昔みたいに、毎日作るのであれば、それなりの材料をストックし、色々な種類の味噌汁を作ることができた。
しかし、食のバラエティー化により、1週間に2〜3回しか味噌汁を食べない人が増えると、いつ食べるかわからない味噌汁のための材料を、ストックしておくのは無駄なのだ。

1週間に2〜3回であれば、インスタントが最も都合がよいのである。

もうひとつは、健康指向であろう。味噌が健康によいというのは、最近あちこちで宣伝されている。健康を考えると、できることなら毎日食べたいが、先に挙げた理由によりなかなか手作りは難しい。そこで、インスタントなのである。

最後に、最近のブームの直接的原因ではないが、味の向上は間違いなく、インスタント味噌汁売上増の原因であろう。
昔の「粉のインスタント」から比べると、格段に進歩し、生味噌タイプが出てからも、着実に味は向上している。10年の一人暮し経験から、これは間違いない事実だと感じる。下手な人が材料から作るより、明らかにうまいのだ。

この地道な味の追求と、食生活の変化、健康指向が重なって売上が伸びているのではないだろうか。

この課題のポイントの一つは、インスタントみそ汁の「プロダクトが向上した」ことです。永谷園の「あさげ」も当初は、「粉末タイプ」でしたが、今は「ねりタイプ」です(生味噌タイプとは言わず、ねりタイプといいます)。
そして、プロダクトの向上の貢献とともに欠かせないことは、「コンビニの浸透」ではないでしょうか。

コンビニは、日本の流通を変えただけではなく、確実に食生活も変化させました。これによって、ファーストフードや持ち帰り弁当などは、大打撃をこうむっていることは言うまでもありません。
★現在まともに戦えているのが、体力のあるマクドナルドだけであることが、それを証明しているでしょう。

コンビニで買った弁当には、みそ汁が必要でしょう。いくらコンビニでも、持ち帰りのみそ汁はありません(ほとんどは)。だから、売れているということが、端的な理由ではないでしょうか。

「食のバラエティ化」についてのコメントがありましたが、私の意見は微妙に違います。
基本的な考え方は同じですが、私は、食のバラエティ化が、「みそ汁の調理方法に対するこだわり」を薄れさせ、そこに、インスタントみそ汁の品質の向上もあいまって、購買促進につながったのではないかと考えます。
たしかに、野菜などの具材の調理が面倒くさくて…、ということもあるでしょうが、それを語るなら、今の若者の調理意識についても少し語らないと、中途半端になってしまいます。
おそらく、今、毎日普通に調理している主婦でも、調理が面倒だと思っている人は、数多くいるでしょう。だからこそ、ポイントはなぜ今インスタントを買うことに抵抗がなくなったか、です。
それが、調理方法に対するこだわりの薄れ、です。だいたい、食事をコンビニの弁当で済ませばいいと思っている人が、みそ汁だけは、具材からきちんと作ります、なんてことありえないでしょう。
持ち帰り弁当が、コンビニの浸透によって促進され、それが、結果としてインスタントみそ汁市場まで活性化させてしまった。

回答として書いたことの中には、注目すべき意見もあります。特に、男性も調理するようになったという点は、マーケティング仮説としても、是非調べてみたいものです。
ただ、「インスタントみそ汁」のことを考えるとき、「健康指向」に引っ張られてしまったのは、いただけません。だいたい、味噌自体を「健康食品(に近いもの)」と思って食べている人が、はたしているでしょうか。「減塩」にとらわれて、健康ときたのだと思いますが、今回のテーマの中心からは、若干はずれていると思います(間違ってはいません)。ここでは、「調理」について、もう少し検討すべきだったでしょう。

 

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